こんにちは、Tommy’s factoryの大野です。今年2025年7月にですね、台湾駐在をしていた前の会社を退職をしまして、台湾で転職か事業立ち上げか悩んでいる期間にダメもとで申請した就業ゴールドカードについてお話しようかと思います。
台湾ではちゃんとした居住証をもって5年住めば、永住権をとることができます。なので私は残り3年居住して「台湾で永住権を取得している日本人」というキャリアが欲しいと考えてたところ、日本にいる社長より5月に帰任の辞令を受けてしまい、辞令の連絡にそのまま退職の意向を返信したのが始まりです。
サラリーマンで60歳定年までこのまま働いて終わるより、永住権をもっているということが、今後何かしら役に立つだろうという考えですが、実際どうなるか分かりませんね。
ですが、とりあえず外国人が台湾で転職するための半年の居住ビザ(更新すれば更に半年)に切り替えて、早速「カモメ転職」「Reeracoen Taiwan」「ABROADERS CAREER」といった東/東南アジア向けの転職エージェントに登録して、加えて日本側の「ビズリーチ」や「リクナビ」「Indeed」などにも登録しました。
ただ後者は後に分かったのですが、日本側のエージェントは日本に居住拠点がない状態では、確か労働法の観点で紹介はできないという結果でした。
そんな感じで転職活動を試してみたのですが、台湾は日本人の求人が少ないです。少ない上に自身の経歴と合うものを探して、加えて私の個人的な理由として、スーツを着て仕事したくないせいで、門戸をだいぶ狭めてしまいました。「あぁ、これは自分で事業を興すしかないかなぁ」という流れで、本格的に同時進行していた就業ゴールドカードの取得を進めていった感じです。
就業ゴールドカードとは

台湾政府が2018年に導入した海外への人材流出防止と、世界中から呼び込むための制度で、背景には深刻な人材流出の背景があります。なので呼び込みたい人材の領域や、すでに指定の高い収入がある層をターゲットとした特別なビザだと思って下さい。本来個別で申請しなくてはいけない以下4つの許認可がこのカード1枚で完結します。
居留ビザ(Resident Visa)
外国人居留証(Alien Resident Certificate – ARC)
労働許可証(Work Permit)
重入国許可証(Re-entry Permit)
普通のビザとの違いを比べても、これを持っているか持っていないかで台湾での就業活動の自由度が変わってきます。なので4か月かけて取得できた時は本当にホッとしました。ちなみにとれたらすぐフリーランスで活動できるといえばできますが、事業申請や法人立ち上げにはまた、こっちはこっちで申請をしなくてはいけないです。
| 項目 | 就業ゴールドカード | 通常の就労ビザ |
|---|---|---|
| 所属(就職)先企業 | 不要 | 必要 |
| 転職 | 自由 | 要再申請 |
| 起業・フリーランス | 可能 | 基本的に不可 |
| 有効期間 | 最長3年 | 通常1年 |
| 申請の手間 | オンライン完結 | 複数の手続き必要 |
| 対象者 | 高度人材限定 | 一般労働者も可 |
経歴に合わせて、どの領域を申請するか

ゴールドカード申請可能な10つの専門分野
私の過去の経歴としては広告代理店でOEMグッズの制作と、ひとつ前の前職で在籍していた浙江省義烏市で、商品の代理購買から検品、AmazonのFBAや楽天RSLへの発送まで商品管理マネージャーをして、それから台湾赴任後はEC事業とクラウドファンディング、SEO、META広告運用などをしていたので、以下の表で「デジタル」の中の更に小領域として「EC事業」を選択して申請をしました。
| 領域名 | 主要申請条件 | 経験年数要件 | 給与条件 | 主な対象職種 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 建築設計 | 建築士資格または建築事務所経験 | 5年以上 | 月給16万TWD | 建築士、設計責任者、プロジェクトマネージャー |
| 2. 文化藝術 | 文化芸術分野での実績 | – | 月給16万TWD | アーティスト、デザイナー、映像プロデューサー、編集者 |
| 3. 數位 | デジタル経済関連経験 | 8年以上 | 月給16万TWD | エンジニア、EC事業者、ゲーム開発、フィンテック |
| 4. 經濟 | 多様な条件(7款) | 8年以上(第4・5款) | 月給16万TWD(第1款のみ) | 国際ビジネス、製造業、貿易、デザイン、コンサル |
| 5. 教育 | 世界上位500位大学関連 | 3年以上(第2款) | 月給16万TWD(第4款) | 大学教授、研究員、教育行政 |
| 6. 金融 | 金融機関専門職 | – | 月給16万TWD(第1款) | 銀行管理職、証券アナリスト、フィンテック |
| 7. 法律 | 法律専門職 | – | 月給16万TWD(第1款) | 弁護士、企業法務、法学研究者 |
| 8. 國防 | 国防関連専門 | – | – | 国防技術専門家、安全保障研究者 |
| 9. 科技 | 多様な条件(13款) | 4年以上(第7款) | 月給16万TWD(第1款のみ) | 研究開発、AI/IoT専門家、スタートアップ経営 |
| 10. 體育 | 国際大会成績 | – | – | 元選手、コーチ、審判、スポーツ産業 |
基本的には各領域で月収160,000TWD以上あれば申請が通るようなのですが、そうそうそんな大金稼いでいるわけもなく、別の条件を満たしている必要があります。おそらく一番ハードルが低いのはその領域において8年以上の経験を有していることです。私は該当する経歴が合計で8年5か月ぐらいはありました。
資料の修正や補填で神経すり減らした4ヶ月間

6/7にオンライン申請をして実際にカードを受け取ったのは10/7です。移民署での1審、2審は2営業日ぐらいですぐ通ります。問題は「勞發署審查」です。早速問題が発生しまして、まず職務経歴書で記入した期間に、台湾赴任の当初はビザが発行されるまでノービザで入境してた時期がありました。会社からは出張という名目で売上の発生しないリサーチだけの商業活動でしたが、この期間は不法就労にあたると言われてしまいました。
不法就労と認定されたら一発アウトで、その時点のビザも取り消されて入境禁止となります。そのためこれは無理だと思って1カ月資料の修正と再提出を中止してました。アホなことに私はAPECビジネストラベルカードを所有していたことを1カ月後になってようやく思い出し、カードをスキャンして合法の範囲内で活動してたことを念入りに資料に記入しました。この1カ月の期間も含め6~9月はずーっと勞發署で止まってました。
次に中国大陸での就業経歴は就業ゴールドカードの手続き上、有利になりません。申請するにあたって私は前職の2社に在職証明書のサインと社判の押印を依頼したのですが、中国で作成された就業証明書を使用する場合、大陸側で海峡交流基金会(SEF)という機関による認証が必要になります。
中国の同僚に余計な仕事増やせないなぁと困ってたのですが、幸いここも私は日本採用の中国駐在でしたので、日本側で作成した在職証明で大丈夫と確認がとれました。
あとすべての資料は翻訳しにくい会社名の固有名詞なども不足なく中国語、もしくは英語に翻訳してください。日本語が少しでも混じっていたら突き返されました。1回突き返されて再提出すると、またそこから1-2週間音沙汰無しなので、この期間は本当に毎日神経すり減らしてました。

進捗ステータスが「勞發署審査」の時は、先に「勞發署」がチェックし、そのあと「各領域」の部門へ人材が適正か審査依頼をし「勞發署」へ戻り、私へ通知が来るという流れのようで、最終的に「デジタル」の領域は適正ではないと不承認となってしまいました。ここでしっかり心が折れました。
どう考えても私の経歴は「デジタル」の「EC事業」が適正だと思うのですが、通知に補足として「デジタル」ではなく、「経済」領域に値するということで、こちらで再提出してくださいという記入がありました。最終的に「経済」の小領域の第五款「文化創意産業専門職」で再申請して最終的には承認がおりたのですが、この前にあともう1回心が折れてます。
| 小領域 | 条件 | 経験年数 | 給与条件 |
|---|---|---|---|
| 第一款 | 経済産業での実績 | – | 月給16万TWD |
| 第二款 | 多国籍企業高級管理職 | – | 不要 |
| 第三款 | 産業技術専門家(博士学位+国際賞または4年以上経験) | 4年以上 | 不要 |
| 第四款 | 製造業・技術サービス業専門職 | 8年以上 | 不要 |
| 第五款 | 文化創意産業専門職 | 8年以上 | 不要 |
| 第六款 | 起業家ビザ保持 | – | 不要 |
| 第七款 | 政府認定台湾急務人材 | – | 不要 |
2回目の心が折れた瞬間

9/26にようやく「勞發署審查」の承認が通り、次の「外交部審查」はすでにビザを取得して台湾にいる私は免除となり「移民署復審(再審査)」となります。日本で申請している人の場合は、パスポートを持って日本の「台北駐日経済文化代表処」へ行く流れだったかと思いますが、ここは割愛します。ネット上も情報が少なく、基本的には「勞發署審查」を通り「移民署復審」まで進めばあとはスムーズという前情報だったのですが、これが、以下こうなります。

人間、本当に膝から崩れ落ちるってあるんですね。4カ月目にして1審に戻るということが起きまして、どうやらオンライン申請時の入力した住所に部屋番号が記入してなかったそうで、もちろん入力ミスのあった私が悪いのですが、最初の1審、2審で気づいてくれよ、というのが正直なところです。この先どうなるか分からない私としては「ここからまた2-3ヵ月?」と思い、かなり落胆してました。
最終的には再入力して送信したところ、10/7には「移民署復審」までステータス表示が戻り、そのあと「ICカード発行中」となり、カード承認されたのがここで確定します。ようやくここで安心ができました。
そして申請時に登録したメールあてに
[Taiwan Gold Card] – Application approved, Your card is being prepared〔就業金卡〕審查核准待製證通知
[Taiwan Gold Card] – Your Card is Almost Ready to Collect〔就業金卡〕審核通過製證完成通知
という件名のメールが続けて送られてくるので、二つ目のメールが届いた翌日から3営業日後に、最寄りの移民局にパスポートを持って受け取りに行けば無事終了となります。本当長かったです。
提出した書類

- 台湾の居住証「表/裏」
- パスポートのコピー
- 証明写真 サイズ2寸 ※背景白/w3.5*h4.5cm
- 職務経歴書 中国語
- 在職証明書 中国語 ※該当する領域で、かつ在籍期間が合計8年を超えるように
- 別紙で過去の実績資料を作成 英語 ※私はCANVAで作りました/上記画像はその表紙
- APECビジネストラベルカード「表/裏」 ※上述にあるように私の場合これが必要
私は以上の資料を提出しました。⑥の別紙の実績資料は中国語でいいと思います。最初の「デジタル」領域で申請をしようとした時、職務経歴書だけでなく指定のフォーマットの履歴書も提出するよう連絡ありまして、そっちが英語だったので、まだ完成してなかった実績資料もそれにあわせて英語にした感じです。「経済」のほうではそっちのフォーマットの提出は不要でした。
申請は外國專業人才申辦窗口平臺から

外國專業人才申辦窗口平臺のHPから申請を進められます。条件に合った上で基本的に根気強く進めていけば取得はできるものかと思いますが、もし添削や資料翻訳でコンサルが必要であればお問い合わせいただけたらと思います。
